アパレルの流通の要である総合商社の役割

アパレルの流通の要である総合商社の役割

このエントリーをはてなブックマークに追加  

日本のアパレル産業の中で国内商社は、国内外にわたるネットワークを活かしてアパレル流通を支える役割をしています。それは、アパレル業界の中の分野や種類なども超えて結ぶプロデューサーかつコーディネーターのような役割としてなくてはならないものとなっています。

 

 

商社は、アパレルの川上から川下まで幅広く顔がきき、原料から最終の商品となるまでのネットワークを作り、コーディネイトしている役割です。これまで述べてきたように、日本のアパレル流通は非常に売買の何度も起こる多段階性と複雑性をもつ業界です。

 

その中で商社の存在はとても重要で、金融面でのフォローや在庫リスク、情報機能などは、商社なしでは進んでいかない状況です。商社は海外にも広くネットワークを持つので、今後のアパレル業界が海外へ進出していくのにも、商社はますますなくてはならない存在となっているのです。

 

商社は、多くの外資系ブランドの輸入を手掛け、大手商社では、輸入による売上高は全売上の30%を超えるまでに手を伸ばしています。今後もそのような傾向は続くでしょう。

 

アパレルの流通の要である総合商社の役割

 

また、商社は流通変革の一手として、SCM(サプライチェーンマネジメント)の構築に力を入れている最中です。それは、来店客数に対する購入客数の比率、つまり”買い上げ率”を上げるために必要不可欠です。SCMは、消費者に寄り添った商品企画、製造、販売、流通を実現し、より素早く、鮮度の良い商品を売場に並べるための仕組み作りなのです。

 

これと同時に無駄のないアパレル流通を完成し、さらに取引金額も上がるというアパレル業界全ての立場がWINの状態を作り上げることができるのです。メーカーの中には、商社を使わずに海外取引をする企業もありますが、グローバル化の動きが活発化すればするほど、商社の活躍の場は広がっていく気配がします。

 

スポンサーリンク

 

日本のアパレルメーカーのマーケティング戦略について

 

日本のアパレル企業は、世界のアパレルメーカーの中でも売上高はトップクラスと言えます。しかし、世界的に有名なメーカーは、多くありません。今後、世界進出していくためには、売上ではなくブランド力をもっと上げる時がきているでしょう。

 

 

日本の総合アパレルメーカーの売上高は、世界のアパレル企業と比べても極めて優れています。しかし、最近は売上高も伸び悩んでおり、本当の意味で市場の変化に対応していくことが否応なしに求められています。

 

これからのアパレル業界に求められているのは、今まで以上の「マーケティング力」と「マーチャンダイジング力」です。お客様に喜んでもらえるためには、魅力的な商品作り、売れ筋を短期的にフォローしていくQR(クイックレスポンス)体制の強化への取り組みなどが必要です。一言で言えば、アパレルメーカーに求められている本質は、「質の高い商品企画力」なのです。

 

 

各社がSPAを次々と開発していますが、それは何故でしょうか。売上と利益を確保するためにという理由はもちろん挙げられますが、もう一つの理由として、直接お客様の声を聞く場を持つためになのです。製品卸だけではお客様の動きが直接見えません。そこで自前の売場を持つことにより、よりお客様の視点に立った商品開発が可能となるのです。

 

そのため、今後もさらに直営店の開発は進み、同時に単純な卸しだけの事業は縮小される傾向にあるでしょう。ワールド、オンワード樫山、ファイブフォックス、三陽商会などの上位企業の動きは、これからのアパレルメーカーの流れに大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

 

 

どのようなやり方にしても、お客様の顔を見て、彼らが本当に欲しがっている商品は何なのかを考え、迅速に商品開発に手を打つ企業が今後勝ち抜いていく企業になるでしょう。



このエントリーをはてなブックマークに追加