アパレル業界の製造・流通過程について

アパレル業界の製造・流通過程について

このエントリーをはてなブックマークに追加  

アパレル業界は、川上・川中・川下と3つのグループで構成されて考えることができます。これらのメンバーがすべて揃わないと、洋服は出来上がらないと言われていましたが、その体制が今崩れつつあるのです。それぞれの役割を確認しながら、どのような方向にアパレル業界が動いているかを見ていきます。

 

アパレル業界の製造・流通過程について

 

多くの商品は、メーカーによる原料調達、製造(組み立て)、販売といった一貫した流れの中で製造されています。しかし、アパレル業界では一貫性がないのです。

 

@原料の生産 A商品の生産 B小売への流通 の3段階でそれぞれの企業が役割分担し、製造しているのです。この製造の流れを川の流れに例えて、業界では通称、川上・川中・川下と呼ぶようになりました。

 

ある意味では、分業化が進んでいると言えますが、一方ではそれぞれが異なる企業のため流通の段階で売買が何度も起こる多段階性を生む原因となりました。そのため、コストが上がり、生産者が大量生産した製品を市場に投入し、小売りが販売していく「プロダクトアウト」型となったのです。

 

スポンサーリンク

 

アパレルの流通過程では長い間、アパレル商品を作る人、振り分ける人、売る人それぞれに役割があり、これは当たり前のこととされてきました。しかし、これまでのようなやり方でやっていては、小売業が利益を確保することが難しくなってきたのです。売ることに集中していた小売業は、利益確保のため、川上・川中まで注目し、すべてをコントロールしようと始動したのです。

 

まず考えたのは、流通経路をできるだけ短縮しようとした点です。複雑な経路を短縮して、コストを削減し、様々な小売業のPB戦略に見られる製販同盟やGMS、ディスカウンターの価格破壊をしました。お客様にできるだけ安く最良の商品を届けようとしたのです。これが「ナカヌキ」と言われるもので、徐々に一般化しました。川下に位置していた企業が、川中・川上までカバーしようと動き始めたのです。

 

 

では、川上や川中に位置する繊維産業が伸びていくために必要なものを見ていきます。その方向性をアパレル産業国家のイタリアから学んでみましょう。イタリアからはご承知の通り、有名なブランドが生まれています。

 

伝統に裏付けられた技術力によって、その多くを中小企業が生み出しています。これらの中小企業が、ミラノコレクションで華々しく活躍しているデザイナーやブランドを支えているのです。イタリアのアパレル業界を支えているのは、世界で活躍できる品質を持った商品を作るのだという困難にくじけない強い意志や情熱なのです。

 

あくまでもお客様主体の目線で物事を捉え、かつ強みを生かした経営努力が世界の中で発展していくには必要不可欠なのです。アパレル業界において、川中・川上まで勢力を伸ばしてきた強い小売業の出現を、新たなチャレンジを始めるためのきっかけであるとポジティブに捉えて、強い企業づくりのためにひたすら前に進んでいくことが今必要なのです。



このエントリーをはてなブックマークに追加