アパレルメーカーの徹底した品質・生産管理

アパレルメーカーの徹底した品質・生産管理

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最近は、日本のアパレルメーカーも生産拠点を海外、特にアジア諸国に移動して管理し始めている傾向があります。日本から距離が離れているとは言え、日本のお客様に支持される商品を作るためには特に生産・品質管理のレベルを維持しなければなりません。

 

 

国内の縫製工場で生産されるものは、一般的に、生産ロット(生産の金額・数量)が少ないもの、単価が高くディテールにこだわりるような商品の場合です。一方、海外で生産されるケースは、生産ロットが大量で単価はそれほど高くなく、一定の基準をクリアすればよいというような場合です。

 

縫製工場には、それぞれ得意分野があるのが特徴で、例えばニットが得意な工場、ジャケットが得意な工場、カット物など比較的薄手の繊維製品が得意な工場、などのように、アイテムごとに製品を作る工場も分かれます。そのため、商品を作るために工場を選ぶ際には、その工場がどの分野が得意なのかということを事前に調査する必要があります。

 

ある都内の中堅婦人服メーカーの社長は、品質にかなりのこだわりを持っている人物です。工場を選ぶ際には、そこがどんな遠い場所にあろうと必ず自分の足で現場に出向き、工場のトップと会い、一緒に商品を作るラインに入って、社長自ら出来上がりをチェックするそうです。そこまでして、納得したら契約するという徹底した企業です。

 

アパレルメーカーの徹底した品質・生産管理

 

メーカーとは、そこまで品質にこだわりを持つべきであり、生産管理や品質管理を他人任せにしている企業はよいものは作れないということなのです。

 

アパレルメーカーは、これまでも述べたようにあらゆる企業の協力を得られなければ、商品を作り上げることはできない業種と言えます。特に、協力工場という取引先は企業にとって生き残れるか否かの生命線となるでしょう。工場との取組みを手抜きすることなく、真剣に考えているメーカーこそ、信頼できるメーカーと言えるのです。

 

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商品にするには、品質管理は必須

 

これからの時代は、お客様が商品に対して、法律というもの以上に、メーカーが品質に対してきちんと責任をもっているのか厳しい目を持っている時代です。これからは、メーカーがますます品質に対しての責任を重視して考えていかなければなりません。

 

 

日本において、1995年7月からPL法が施行されました。PL法とは、製品の使用中、消費者が生命、身体、または財産に損害を受けたとき、それが製品の欠陥によるものであったことを証明できれば、製造者の賠償を受けられるという製造者の責任を定めた法律のひとつです。これによりメーカーの作る製品に対しての責任と義務に重みが増しました。

 

アメリカの婦人服SPA企業に「リズ・クレイボーン」という企業があります。同社は、30か国以上、およそ200の契約工場で生産をしています。そのため、通常の企業以上に品質管理基準というものが必要で、「品質管理」にいち早く本格的に取り組んできた企業です。

 

 

同社では、「5C戦略」とベースに品質管理を徹底してきました。5Cとは、次の5つです。

 

  • コンフィギュレーション(編成)
  • コンソリデーション(統合)
  • サーティフィケーション(認定)
  • コンサーン(懸念)
  • コスト(原価)

 

この5つの方針にのっとって、最適な技術、時間、経費をベースに最適生産地を決定し、商品調達先を絞り込む手順をふみました。その結果、品質がよく、より効率の良い生産国と生産工場を絞り込むことに成功したのです。

 

 

そして、その内容も、1工場あたりの生産量を倍に増やし、基準を徹底する監査官をつけ、世界中の工場を巡回させ定期的にチェックを入れるということを徹底しました。合わせて、生産工場のある国の文化の違いも念頭においた教育指導を行い、世界のどの工場においても同じレベルの品質の商品が出来上がるように維持されるようになったのです。

 

このような高いレベルの品質管理は、こうした国際的企業だけではなくどんな小さなメーカーでも求められる時代です。厳しすぎるくらいの品質管理基準は当たり前の時代となってきたのです。



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