アパレル流通における高コスト構造について

アパレル流通における高コスト構造について

このエントリーをはてなブックマークに追加  

日本のアパレル流通の構造はとても複雑で、これは「高コスト体質」を作ってしまいました。成長期は、この複雑な流通経路がかえってメリットとなった時代もありましたが、安定期を過ぎた昨今では、できるだけシンプルな流通が求められています。

 

アパレル流通における高コスト構造について

 

日本のアパレル産業は、これまでの歴史の中で多段階の生産・流通構造を生んできました。このような構造は、リスクを回避する、生産・販売数量を調整する機能を持つ、小売店頭の品揃えを強化するという点では、重要な役割を持つ構造性でした。

 

日本的流通の良さも、たくさんあったのです。しかし、今後世界に通用するアパレル産業を作っていくためには、この流通構造を改革しなければ伸びない部分もたくさんありそうです。

 

日本のアパレル流通の特徴として、商社や卸が間に入るというケースが多いという点が挙げられます。ある調査によると、繊維製品は流通過程の中で4回程度卸売業者を介在していると言われ、こうして何度も業者を通過していることがコストアップ要因の一つになっているのです。

 

スポンサーリンク

 

また、最近になってやっと日本のアパレル業界でも、大きなコンベンションが定期的に開かれるようになりましたが、欧米に比べるとまだまだ少ないのが現状です。世界に発信して、世界中からも人を集められるような、魅力的な展示会というものが日本のアパレルには足りないのです。

 

これは小売業と糸屋さん、生地屋さんとを結ぶ場がないということを意味しており、商社や卸が間に入らなければモノが流れないという構造を示す証拠でした。これが、結果的にコストアップにつながった二つ目の理由として考えられます。

 

 

そして、何度も業者を通過するということは、たくさんの人が関わるということにもなります。経由が多いということは、配送回数も多くなりますし、受け渡しや検品などの作業も発生し、様々な作業が何度も必要になるのです。

 

このような多段階・高コスト構造に無理があると感じ始めた企業は、素材調達、製品企画、製造、流通、販売、販売促進、在庫管理といった全ての工程を自社で一貫管理するSPAや直接発注、別注という形態で新たな仕組みを考え始めています。新しい流通の仕組みは、これまでと違いなるべく単純にすることが必要でしょう。



このエントリーをはてなブックマークに追加