メーカーと百貨店の委託取引について

メーカーと百貨店の委託取引について

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アパレルの取引の中で古くから行われているものとして、メーカーと百貨店との間で続いている「委託取引」が代表的なものとして挙げられます。しかし、ここにきて「委託取引」の方法を変える必要性が出てきています。

 

メーカーと百貨店の委託取引について

 

1950年代からアパレルメーカーと百貨店の間では、アパレルメーカーが自社ブランドショップの商品構成を担当し、そこに販売員を派遣して販売までを行う「派遣店員付委託取引」という制度が続いてきました。

 

これは、売れ残った商品は、メーカーに返品できるというメリットが百貨店に付いた委託仕入れが基本の条件とされた取引でした。当時は、品が不足している時代でもあったため、百貨店はシーズンごとにボリューム感のある品揃えをすることがまず求められたのです。

 

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メーカー側にもメリットがあり、以下の点で非常に有利な制度だったのです。

 

  • 自社の負担で派遣店員を店頭に立たせることで直接、消費者の情報を得ることができる。
  • それを企画生産にフィードバッグできる。

 

 

この取引制度によって、日本全国の百貨店は品揃えに関しては、店の要望通りの充実した具合になったのです。しかし、その反面、売場のほとんどをメーカー任せにしてきたということにより、百貨店の独自性を追求するためのマーチャンダイジング力が付いていなかったのです。

 

どこの百貨店も同じような商品ばかりが陳列され、お客様側に立ったときの企業の色がほとんど変わらないという点が大きな問題点となってしまったのです。また、メーカーは売れ残りの商品の在庫コストを得るために小売価格に上乗せすることも実際にありましたが、今ではそれも厳しい状況になり、そうすることもできなくなったのです。

 

 

このような過去の背景から誕生したのが、「売上仕入れ(売り仕、消火仕入れ)」という方法です。その名の通り、売れた分だけ百貨店が仕入れを行うという取引形態です。この方法のメリットは、・百貨店はロスなく仕入れができるようになったことと、・メーカー側の在庫コントロールにより、計画的に商品構成を組むことができるようになったということです。

 

デメリットは、売り仕は投入商品、在庫管理、追加までのトータルをすべてメーカー側の意思で行うため、百貨店の意思が途中で入らないという点です。お客様に喜んでいただくためには、店頭でいかに売り手の意思を見せることが必要になってくるのです。



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